わたしは、普段フリーランスで仕事をしていますが、少し前に、アメリカのクライアントから仕事を受注した際、 Form W-8 BEN への入力・提出を求められました。
Form W-8 BEN を記入していただきたいので、PDFを送ります。
これに記入して、送り返してくださいね。
えっ。何何??
そもそも、Form W-8 BEN って何?
何のため?
これを書かないとどうなるの?
とわいてきた色々な疑問に対し、調べてみましたので、この記事にまとめてみたいと思います。
フリーランスの方で、同じような状況に出くわした方のお役に立てればと思います。
ちなみに、私は日本在住の日本人です。
- Form W-8 BEN とは何か?
- 書き方 について解説
- Part I
- 1. Name of Individual who is the beneficial Owner
- 2. Country of citizenship
- 3. Permanent residence address (street, apt. or suite no., or rural route).
- 4. Mailing address (if different from above)
- 5. U.S. taxpayer identification number (SSN or ITIN), if required
- 6a. Foreign tax identifying number (See instructions)
- 6b. Check if FTIN not legally required (See instructions)
- 7. Reference number(s)
- 8. Date of birth (MM-DD-YYYY)
- Part II
- Part III
- Part I
- Form W-8 BEN の注意点
- 補足情報
- Form W-8BENの書き方を詳しく解説【2024年最新版】・まとめ
Form W-8 BEN とは何か?
正式名称は、「Certificate of Foreign Status of Beneficial Owner for United States Tax Withholding and Reporting (Individuals)」です。
そのまま訳すと、
「アメリカの源泉徴収及び報告に関する受益者の在外証明書 (個人)」
となります。
通常、アメリカに居住していて、アメリカでなんらかの収入を得ている場合は、アメリカに税金を納める必要があります。
が、アメリカに居住しておらず、アメリカからなんらかの収入を得る場合、アメリカで税金を納めることを免除または減免する、という証明書になります。
つまり、アメリカからなんらかの収入を得るけれど、アメリカ在住ではなく、アメリカ国外に在住なので、それを証明するから源泉徴収しないでくださいね、ということになります。
なお、この証明書は、IRS – Internal Revenue Services (アメリカ内国歳入局 = 日本でいうところの国税庁) から発行されているものです。
ダウンロードリンク
詳細は、IRSのウェブサイトにあり、フォームのダウンロードリンクと、書き方の説明 (PDF)を確認することができます。
上記のIRSのウェブサイトには、このフォームがどんな場合に提出すべきか、ということについても書かれています。
・あなたが外国人かつ源泉徴収の対象となる金銭の受益者である場合、源泉徴収義務者または支払者に対し、W-8 フォームを提出せよ。
・源泉徴収の減額または免除に関わらず、求めに応じて、源泉徴収義務者または支払者に対し、W-8 フォームを提出せよ。
私のケースは、ばっちり当てはまっていました!
書き方 について解説
IRS のウェブサイトからフォーム (PDF) をダウンロードします。
入力箇所は、大きく分けて Part I、Part II、Part III の3か所あります。
順を追って説明していきますね。
Part I
Part I には、入力箇所が8項目ありますが、すべて入力するケースは稀だと思いますので、心配はいりません!
1. Name of Individual who is the beneficial Owner
個人名です。名、姓の順でローマ字で入力します。
例:Hikaru Sato
2. Country of citizenship
国籍です。英語で記入します。
例:Japan
3. Permanent residence address (street, apt. or suite no., or rural route).
現住所を書きます。
居住者ではないことが源泉免除・減免の条件なので、アメリカ国外の住所です。
この項目は、入力箇所が3か所に分かれていますが、小さい範囲⇒大きな範囲の順で入力します (日本語と反対です)。
例:〒100-0014 東京都千代田区永田町1丁目7−1 1010 号の場合、下記のようになります。
項目名 | 入力例 |
Street, apt. or suite no., or rural route | #1010 1-7-1 Nagatacho |
City or town, state or province. Include postal code where appropriate. | Chiyoda-ku Tokyo, 100-0014 |
Country | Japan |
4. Mailing address (if different from above)
書類の郵送先です。上記3. で記載した現住所と異なる場合に記載します。
同じ場合は、空欄のままでOKです。
5. U.S. taxpayer identification number (SSN or ITIN), if required
米国納税者番号です。番号を持っていれば記入します。
- SSN = social security number 社会保障番号
- ITIN = individual taxpayer identification number 個人納税者識別番号
6a. Foreign tax identifying number (See instructions)
外国の (アメリカ以外の) 納税者番号です。
日本の場合は、マイナンバーを記入します。
例:1234 5678 9012
6b. Check if FTIN not legally required (See instructions)
FTINとは、6aの Foreign tax identifying number のことです。
書き方にある説明を直訳すると、以下のようになります。
『あなたが項目6aの目的に沿って説明された口座保有者であり、居住地の法域からFTINを取得することが法的に要求されていない場合(その法域がTINを発行していない場合を含む)、この項目6bのボックスをチェックします。このボックスにチェックを入れると、項目6aでFTINを提供しなかったことについて説明したものとして扱われます。項目6a にFTINを提出する必要がない理由をさらに説明したい場合は、本用紙の余白に記入するか、本用紙に添付する別紙の説明書に記入してください。』
7. Reference number(s)
参照番号。下記のケースに当てはまらなければ入力不要。
金融機関から、この W-8 BEN フォームの提出を求められていて、その金融機関に口座を所有している場合に口座情報を入力。
または、この W-8 BENフォームを他のフォーム (例:W-8IMY) などと関連づける場合、参照番号またはコードを入力して、関連が分かるようにするために入力。
8. Date of birth (MM-DD-YYYY)
生年月日です。MM-DD-YYYYの形式で書きます。
例:01-31-1920
Part II
ここのパート II が理解するのにかなり時間がかかりました。
9. I certify that the beneficial owner is a resident of …
これは、「恩恵の受給者は、[ ] 国の居住者であることをここに証明する、アメリカと当該国の租税条約の意義の範囲内で。」という意味です。
(直訳しました。)
書き方 (Part II > Line 9) によると、
「第3章に基づき、源泉徴収の対象となる支払に関しアメリカと租税条約を締結済みの他の国の居住者として、租税条約の恩恵を申請する場合は、租税条約上、居住者であることを主張する国を記載する」とあります。
日米間では、2004年3月30日に、日米租税条約が公布及び告示されていますので、ここは、Japan と記載しました。
10. Special rates and conditions
この項目は、Part III と9. の項目ではカバーされない条件を記載する必要がある際に、入力します。
特に条件がなければ、空欄のままです。
Part III
このフォームに記載した内容が正しいことに対する署名です。内容をよく確認しましょう。
I certify that I have the capacity to sign for the person…
「私は、当フォームの項目1に記載されている人物として、署名する資格があることを証明します。」という意味で、左側のチェックボックスにチェックを入れます。
Signature of beneficial owner (or individual authorized to sign for…)
デジタルIDで署名する必要があります。
- 署名エリアをクリック
- [新しいデジタルIDを設定] をクリック
- デジタルIDの種類を選択
- 画面の指示に従って進め、署名を完了
Date (MM-DD-YYYY)
署名をした日を、MM-DD-YYYYの形式で入力します。
例:01-31-2022
Print name of signer
個人名です。名、姓の順でローマ字で入力します。
例:Hikaru Sato
Form W-8 BEN の注意点
- 署名したフォームは、基本的に、署名日から3年プラスその年の末日まで有効です。 (書き方 ⇒ Expiration of Form W-8BENの項を参照)
- フォームに記載の内容が古くなった場合は、30日以内に正しい情報でフォームを提出する必要があります。(書き方 ⇒ CAUTION参照)
- この W-8 BEN フォームは、IRS (アメリカ内国歳入局) に提出するのではなく、要求者 (源泉徴収義務者) に対して提出する必要があります。 (書き方 ⇒ Giving Form W-8BEN to the withholding agent.の項を参照)
補足情報
Upworkでお仕事をする場合でも、Form W-8BENが求められています。Upworkのヘルプページに以下の記載があります。
ログイン後、[Setting] > [Tax Information] から、実名 (=legal name) と非米国市民であることを登録すればOKです。
ちなみに、Upworkで仕事をするなら、報酬の受取りはPayoneerがオススメ。PayPalよりも手数料が低く抑えられているので、手元により多くのお金を残せるから。
以下の記事が参考になるよ。
なお、Payoneerで1,000ドル以上を受け取ると、25ドルがもらえます。
詳しくは、以下のボタンからどうぞ。
Form W-8BENの書き方を詳しく解説【2024年最新版】・まとめ
当初、入力箇所は、合計で14か所で、1ページのドキュメントなので、10分もあれば終わるだろうと高をくくっていました。
しかし、第3章とか、租税条約とか、 源泉徴収義務者とか、 調べれば調べるほど、分からないことだらけでした。
そのときの苦労がこうして記事になりましたが、これを読んでくださっている方々の一助になれば、うれしいです。
もしお気付きの点がありましたら、遠慮なくお知らせください!
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