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翻訳者としてクライアントと直接契約するメリット5選・デメリット5選

翻訳
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現在、直接契約しているクライアントとはもう3年以上のお付き合いになります。

先方から契約を打ち切られることもなく、(飽きっぽい私が) もうこの会社の翻訳をするのは辞めようと思うこともなく、ご縁が意外にも長く続いています。

翻訳会社を介した翻訳仕事をするより、クライアントと直接契約している翻訳仕事の方が経験が長くなったので、この辺で、クライアントと直接契約するメリットとデメリットについて整理してみました。

この記事に書いたメリット・デメリットは個人の見解です。必ずしも一般に当てはまるものではないので、あらかじめご了承ください。

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クライアントと直接契約するメリット5選

まずは、メリット5つからご紹介します。

  1. 直接コミュニケーションができる
  2. 翻訳会社が間にいないのでマージンを取られない
  3. 1人の翻訳者の質問・コメントが他の翻訳者にも見える
  4. 多言語の翻訳者のやり方が見える
  5. 各国の法律による制限が垣間見える

このクライアントでの翻訳仕事では、翻訳するコンテンツとしては、メール、ブログ、マーケティング資料、プレゼン資料など多岐に渡ります。

翻訳作業の流れとしては、下記のような感じです。

なお、このクライアントでは、翻訳作業にはプロジェクト管理ツールのJIRAが利用されています。

翻訳作業の流れ
  • ステップ1
    翻訳が必要な原文ができる
  • ステップ2
    クライアント内部のローカライズチームがJIRA内でタスクを作成
  • ステップ3
    各国言語の翻訳者が通知を受ける
  • ステップ4
    翻訳者が作業を開始・納品
  • ステップ5
    必要に応じて、ローカライズチームと翻訳者でタスク上でコミュニケーション
  • ステップ6
    翻訳者が納品

直接コミュニケーションができる

ローカライズチームは、原文の内容について必ずしも詳しいわけではないので、内容に矛盾があったり、誤ったファイルが提供されていたり、といったことがよくあります。

そういった場合に、JIRAタスク上で質問を投げると、何らかの対応を24時間以内にはしてもらうことができます。

翻訳会社が間に入らないので、伝言ゲームにならない点がとても助かっています。

当然ですが、問い合わせをするときも、直接問いかけられますし、回答をもらうのも、直接です。

ローカライズチームはヨーロッパに拠点があるため、時差があります。
が、日本時間の午後3-4時くらいには、始業時間となるので、夜型の私にはこの時差がとても助かっています。

翻訳会社にマージンを取られない

ごくごく当たり前のことですが、翻訳会社が間にいないため、翻訳料のマージンを取られることがありません。

これは翻訳者のみではなく、クライアントにとっても好都合なことです。

翻訳会社にマージンを上乗せして支払う必要がないためです。

直接契約をすることにより、翻訳作業そのものに対する対価を支払い、支払われるわけなので、クライアント・翻訳者双方にとってメリットになります。

1人の翻訳者の質問・コメントが他の翻訳者にも見える

上記でご紹介した通り、プロジェクト管理ツールのJIRAが利用されています。

ひとつの翻訳対象ファイルに対し、複数言語への翻訳が必要となった場合、複数ではなくひとつのJIRAタスクが作成されます。

たとえば、日本語、中国語、韓国語への翻訳が必要な場合、日中韓の翻訳者3名が、ひとつのタスク上でメンションされて、作業が割り当てられます。

そこで、3人のうち1人が作業についての質問をタスク上で投げかけると、タスク上で回答を見ることができます。

つまり、質問した人のみならず、他の2人にも同じ内容が共有されて、翻訳する上でとても有益な情報を黙ってても共有してもらえるというわけです。

他の翻訳者のやり方を見ることができる

これは、上記の「1人の翻訳者のフィードバックを他の翻訳者と共有できる」と類似している内容ですが、例えば、このフレーズは訳すべきか訳さないべきか、と迷ったときに、他の翻訳者はどうしているかを確認することができます。

納期が迫っているときに、質問してその回答を待つ時間すら惜しいときは、すでに納品されている他の翻訳者の納品物を覗かせてもらいます。

同じやり方を踏襲させてもらい、納品時にコメントで、「『xxx』は訳していませんが、翻訳が必要であればお知らせください」などと付記して納品するようにします。

必要に応じて担当者からの返答通りに対応をすれば、時間と労力の節約ができます。

各国事情について理解が深まる

これは私の興味から来るメリットなのですが、他言語の翻訳を見ていると、原文以外にも各国の法律に準拠した訳文にしなければいけないことが多々あります。

ある国では全く問題ない内容が、別の国では違反になる内容になったりと、翻訳以外の観点で興味を惹かれることがあり、翻訳作業そっちのけで、面白いなぁ、と思うことがあります。

直接契約するデメリット5選

続いて、直接契約するデメリット5つをご紹介します。

  1. 直接価格交渉する必要がある
  2. 翻訳者のキャパシティはあまり考慮されない
  3. 休むと翻訳会社に仕事を回される
  4. フィードバックが少ない
  5. 質問がスルーされる

直接価格交渉する必要がある

これは、メリットとして考えてもいいかもしれませんが、直接契約なので、自ら直接価格交渉する必要があります。

自分がどれだけ貢献しているか、これだけのメリットを提供し続けますよ、とアピールをして価格交渉をするわけですが、間に翻訳会社を挟まないので、自分で材料をすべて用意する必要があります。

交渉が成功しても、失敗しても、すべて自分のおかげ (せい) です。

もっといえば、価格交渉するまでの、翻訳作業そのものの積み上げをする・しないも自分次第です。

翻訳者のキャパシティはあまり考慮されない

他のケースをよく知らないので、これは一概には言えないことかもしれません。

ただ、月によって翻訳ボリュームに波があり、多いときも少ないときも、とりあえず翻訳依頼が来ます。

コンテンツによっては、急ぎではない場合は、余裕をもって設定されることがありますが、「今日中に」とか「明日のxx時まで」といった依頼や、複数件の翻訳依頼がまとめてくることがあります。

休むと翻訳会社に仕事を回される

確信はありませんが、そのクライアントで英日翻訳を担当しているフリーランスは私ひとりのようです。

ひとりだから、その分大変というわけではないのですが、もし私が休暇を取ろうとすると、翻訳作業はクライアントが契約している翻訳会社に回されます。

これは直接契約でなくても、翻訳会社を介している場合でも同じと思われます。

ただ、そのクライアントの翻訳作業の多くを担ってきたという自負もあり、私の知らないコンテンツができてしまうがイヤなんですよね。

キャンペーンがある、新商品といった情報を追えなくなってしまうからです。

フィードバックが少ない

翻訳を納品した後のローカライズチームからのフィードバックは多くはありません。

プルーフリーディング後のファイルがJIRAタスク上で共有された場合は、必ず確認するようにはしています。

また、ブログなども、公開されていれば自分で見にいくことができるので、気が付いたタイミングで内容を確認しています。

ただ、マーケティング資料などは資料の対象者にならない限り、内容を確認することができません。

クォリティを上げていきたいので、もう少しフィードバックがあればと願っているところです。

質問がスルーされる

JIRAタスク上で質問をして、回答が得られることもあれば、回答がないこともあります。

これはコンテンツ作成者まで質問が届いていないこともあれば、作業を依頼してくるローカライズチームが質問を認識していないこともあります。

翻訳をする上で、回答次第で翻訳内容が大幅に変わってくる場合は、繰り返し問い合わせますが、そうでもない場合に、繰り返し質問することは少々憚られます。

直接契約をしているために、あまり強く出るとこの先不利になるんじゃないかといった不安がよぎるためです。

翻訳者としてクライアントと直接契約するメリット・デメリットのまとめ

私の感じる、直接契約するメリットは以下の通りです。

  1. 直接コミュニケーションができる
  2. 翻訳会社が間にいないのでマージンを取られない
  3. 1人の翻訳者の質問・コメントが他の翻訳者にも見える
  4. 多言語の翻訳者のやり方が見える
  5. 各国の法律による制限が垣間見える

また、直接契約するデメリットは以下の通りです。

  1. 直接価格交渉する必要がある
  2. 翻訳者のキャパシティはあまり考慮されない
  3. 休むと翻訳会社に仕事を回される
  4. フィードバックが少ない
  5. 質問がスルーされる

このクライアントと契約している翻訳者の中で比較すると、私は比較的長く付き合いがある方だと思っています。

中には、新しい翻訳者さんが加わったなと思ったら、数ヵ月後にはいなくなっていたり、違う名前の人に替わっていたり、といったことがありました。

でも、長いお付き合いになることで、いいことも良くないことも見えてきて、よくも悪くも、そのクライアントとのお付き合いに慣れてきたのだと感じています。

この先も、さらにお付き合いが続けばと思っています。

翻訳会社が間に入っているときの翻訳作業との比較する際に、役立てていただければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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