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原文がひどい|翻訳者にできる対策2つ

翻訳
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先日、原文の品質がひどく、翻訳作業が二度手間、三度手間になったことがありました。

コンテンツ作成者は、旧版のコンテンツをあまり深く考えずに、適当な編集で更新して、翻訳に回してきたようでした。

よく「翻訳の品質がひどい」ということを耳にしますが、それに負けじとも劣らないくらいの「原文の品質がひどい」案件も存在しているのではないか、と思っています。

一部機械の力を借りるとしても、結局は人間の作っているものなので、原文であれ翻訳であれ、品質をて100%に保つことは無理なことだと考えています。

とはいえ、原文の品質がひどいときに、翻訳者としてどんなことができるのかを考えてみました。

当記事から分かること
  • 原文がひどいときに翻訳者としてできる対策2つ
  • クライアントと翻訳者それぞれが受ける影響
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原文がひどいときに翻訳者としてできる対策

先に原文がひどいときに、翻訳者として、どんなことができるのかを先に挙げておきます。

翻訳者としてできる対策
  • CATツールの導入
  • クライアントへフィードバック

この2点について、当記事の後半にて詳しくご紹介します。

タイムライン

今回の出来事を、時系列でまとめると以下のようになります。

原文品質がひどくて翻訳フローはこうなった
  • ステップ1
    クライアントから翻訳依頼
  • ステップ2
    翻訳者が翻訳作業開始

    各国言語の翻訳者が作業を開始。
    原文に数々の重複があることを発見したので、プロジェクト管理ツール上で報告

  • ステップ3
    クライアントより翻訳作業の保留の指示

    私は、ほとんど翻訳は進めていなかった

  • ステップ4
    原文ファイルが更新・翻訳作業再開
  • ステップ5
    あらたな誤りが見つかるも、期限が迫っていたため納品

    ※納品物と一緒に、誤りはすべて指摘した

  • ステップ6
    クライアントよりお詫び+翻訳作業保留の指示
  • ステップ7
    原文ファイルが再度更新・翻訳作業再開
  • ステップ8
    翻訳者が再翻訳作業・納品

当初は、翻訳依頼があった日から5日後に納品日が設定されていました。

ところが原文ファイルの誤りが見つかったせいで、最終的には、当初の翻訳依頼日から約1ヵ月後の納品日となりました。

本来なら (=原文の品質に問題なければ)、上記の半分のステップ数で済むはずでした。

原文の品質がひどいことによる影響

上記で触れたように、スケジュールがだいぶ延びたことで、クライアントと翻訳者それぞれに影響がありました。

クライアント側の影響

クライアント側に発生する影響
  • 納品の遅れ
  • より煩雑な管理・やり取り
  • コスト増大

コンテンツの作成には、一人や二人ではなく色々な人が関わっています。ミスのない原文を作成する人もいれば、ミスが比較的多い原文を作成する人もいます。

そういった中で、コンテンツの作成は属人性が高いと言えそうですが、原文のクオリティによっては、上記の影響が発生します。

こういった影響があるということを、クライアントにしっかり認識してもらう必要があると言えます。

原文ファイルのフォーマットとして提供されるWordファイルやExcelファイルは、[ファイル] > [情報]> [作成者] を確認すると、作成者の名前が分かります。

作成者を確認しておくと、この作成者ならほとんど問題なし、この作成者の場合は要注意、といった感じで気を付けることができます (自衛手段として)。

翻訳者側の影響

一方、翻訳者側への影響としては以下のことが考えられます。

翻訳者側に発生する影響
  • 作業が二度手間
  • 原文の校正作業に対する報酬の扱い

翻訳者にとっての影響としては、作業が二度手間になること、そして原文の校正作業に対する報酬があいまいになるということが挙げられます。

ただ、基本的に翻訳作業はワード数ベースで報酬に換算されるため、作業が二度手間になったとしても、単純に倍の報酬が確保されますので、100%問題かというとそうとは言えないかもしれません。

今回は再翻訳といことで、2回分の翻訳作業に対する報酬はきちんと支払われそうです。

一方で、もし翻訳作業途中で、原文ファイルが差し替えられたとしたら、翻訳者自ら「原文の校正作業」に費やした時間や労力に見合う報酬はもらえないこともありえます。

管理人
管理人

この原文の校正作業がたまにモヤモヤします

原文がひどいときの校正作業は報酬の対象か

誰しも、クライアントとの良好な関係を保ちたいと考えていると思います。

なので、あまりネガティブな指摘をすることには躊躇しますよね。

でも、あまりにも原文の品質がひどいときに、校正作業そのものにかなりの労力を割かれた場合は、相応の報酬を請求してもよいと、個人的には考えています。

「内容があいまい」といったレベルを超えて、「誤りがいくつもある」という状態であれば、クライアントと報酬の対象として交渉する余地があるのではないでしょうか。

翻訳者にできる対策2つ

コンテンツはクライアントが作成するものなので、クライアントが十二分に注意すべきことではありますが、翻訳者にもできる対策はあります。

CATツールを導入する

今回、原文に多くの誤りがあることに気が付いたのは、CATツール (Memsource) を導入していたからでした。

CATツールには多くのメリットがありますが、今回、強く感じたメリットは以下の2点です。

CATツールを導入するメリット
  • 重複セグメントが分かる
  • 翻訳メモリを利用できる

今回の翻訳作業では、その原文の特性から、重複する文 (=同じ文) があってはいけなかったのですが、CATツールで原文ファイルを読み込んだところ、各セグメントにおいて「繰り返し (repetition)」であると認識され、フラグが立ったものが、6ペアありました。

原文ファイルはExcelで、計12シートありました。手動で翻訳作業をしていたら、こういった繰り返しの文に気が付くのは、とても難しかったでしょう。

さらに、CATツールを導入することで得られるメリットが、もう1点あります。

それは、翻訳メモリを使えるという点です。

翻訳メモリがあると、更新後のファイルをあらためて翻訳するにしても、一からすべてを翻訳する必要がなく、すでに翻訳済みのセグメントと一致するものがあれば、以前の翻訳を再利用できるのです。

その機能があるおかげで、効率化をはかることができます。

クライアントへフィードバック

もう一つの対策は、「クライアントへフィードバック」です。

とてもアナログな方法ですが、原文に誤りがあれば、数が少なくても、些細なものでも必ず報告することです。

そんなこと、当たり前じゃないの?と思うかもしれませんが、他言語の翻訳者を見ていると、原文の誤りを指摘する人はあまり多くありません。

1つのプロジェクトで、多言語の翻訳作業が走ることが多いので、他の翻訳者のコメントを見ることができます。

私を含めて3人ほどが、よく原文についての不明点を指摘しています。全体がおそらく10言語ほどなので、3割ほどです。

残りの7割の人は、明らかな原文の誤りがあっても、特に指摘することなく、そのまま翻訳をするだけ翻訳をして納品をしています。

「他人の翻訳のやり方を気にするヒマがあったら……」と言われてしまいそうですが、翻訳者にとっては、クライアントこそがお客様です。

そのクライアントにとって、何が嬉しいかということを考えたら、自ずと何をすべきかは答えが出てくるのでは、と思っています。

原文の誤りを指摘することで、上記に挙げたクライアント側への影響 (下記にも再掲) を間接的に認識してもらうことができます。

クライアント側に発生する影響
  • 納品の遅れ
  • より煩雑な管理・やり取り
  • コスト増大

原文がひどい|翻訳者にできる対策2つ・まとめ

当記事では原文がひどいときに、翻訳者にできる対策を2つご紹介しました。

翻訳者としてできる対策
  • CATツールの導入
  • クライアントへフィードバック

CATツールは、お金はかかりますが、投資するだけの価値がありますので、まだ導入していない方は、ぜひ検討することをオススメします。

また、クライアントへのフィードバックは、コスト増大などの問題を認識してもらうために、コツコツとこまめに行うことで、いつか必ず実を結ぶと思っています。

運悪く煙たがられたら仕方ないですが、好意的に受け止めてくれるクライアントもきっといるはずです。

この記事が、翻訳者のあなたに役立てば嬉しいです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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