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翻訳の仕事でクライアントから「常識で判断してください」と言われた話

翻訳
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翻訳の仕事をしていると、たまに話が早い担当者と、話が進まない担当者がいます。

翻訳の仕事に限らず、こういったことはよくあるので、驚くことではありません。

が、「もう少し翻訳者が仕事をしやすいように協力してくれてもいいんじゃない?」と思ったことがありましたので、記事に残しておきたいと思います。

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発端は原文のバグ

クライアントから、htmlの原文を渡され、愛用しているCATツールのPhrase TMS (旧Memsource) で、いつもと同じように翻訳を進めていました。

後半部分に差し掛かり、前半部分からコピー&ペーストしてきたと思しき文があり、明らかに意味が成り立っていないところがあることに気が付きました。

つまり、意図せぬコピー&ペーストをしたことが分かりました。

こんな感じのソースでした:

<p style="TEXT-ALIGN: right"><p>コピペを誤った意味不明なテキストがここ<a style="TEXT-DECORATION: underline" href="https://URLがここ">正しいテキストがここ</p>

よく見ると、<p> タグが重複しているので、タグを手打ちしてコンテンツを作成したのかもしれません。

クライアントに問い合わせ

原文のバグと考え、翻訳作業を依頼してきたローカライゼーションチームの担当者に、原文のバグのことと、対応方法について問い合わせたところ、5日経過後に返信が来ました。

回答がなかなか来ないので、一度だけ状況を聞いてみたところ、すぐ返信が来ました。

クライアントからの返信:

「常識で判断してください。コンテンツを作成した部門が最終確認をします」

この返信を読んで私は脱力しました。

明らかに誤ってコピー&ペーストをした部分を削除してよいのか、タグの修正までやるのか、分かりやすい文字に置き換えるべきか、分かりやすい指示をしてほしかったと思っています。

というのも、このプロジェクトは、英語の原文から複数言語に翻訳するもので、翻訳者がそれぞれ常識で判断したら、各国言語それぞれの翻訳に加え、コンテンツへの変更が入ってしまうからです。

管理人
管理人

判断できなかったので問い合わせたのだし、それを翻訳者に委ねたらまずいんじゃない?と思いました。

なお、翻訳対象言語は、以下の通り:

  • 日本語
  • 韓国語
  • 中国語
  • アラビア語
  • ロシア語など

それに、コンテンツ作成者も、各国言語の対応が異なったら、収拾がつかなくなるだろうことは目に見えています。

とはいえ、同時に「コンテンツを作成した部門による最終確認が入る」ということに安心もしました。

これまで、最終確認があるのかないのか、明示されたことがなかったので、今後、同様のコンテンツを翻訳する場合はさほど心配しなくてもよいかもしれない、とも思ったからです。

各国言語の翻訳者の対応

クライアントより「常識で判断してください」と言われて、翻訳者はそれぞれに対応をしました。

  • 意図せぬコピー&ペースト部分を削除した翻訳者
  • 意図せぬコピー&ペースト部分を翻訳した上で、ハイライトした翻訳者
  • そのまま翻訳した翻訳者

どれが正解というわけではなく、クライアント側が翻訳者の対応をひとつに絞るべきだったと思っています。

ただし、今回はソースがhtmlだったため、タグで該当部分が特定できると思いますので、大きな問題にはならないでしょう。

ただ、効率の面からいうと、最初からもしくは途中からでも原文コンテンツの見直しを行なった方が、コンテンツ作成者にとって楽だったのではないかと思います。

最終確認はコンテンツ作成部門が行なう

一翻訳者としてできることは、指示に従うことのみです。

最終確認はコンテンツ作成部門が行なうということなので、「常識で判断した」翻訳をクライアントに託すだけです。

そして、質問しても回答がなかったり、遅かったりすることについては、翻訳者にできることは返答を催促することくらいしかできません。

翻訳者として、中途半端な状態ではなく、できる限り完成品で納品したい、という希望はそっと脇においておくしかありません。

翻訳の仕事でクライアントから「常識で判断してください」と言われた話・まとめ

バグが原文にあることを発見したのが発端でした。

それをクライアントに問い合わせたところ、「常識で判断してください」との驚くべき回答がありました。

各国言語の翻訳者はそれぞれに判断をして、翻訳を行ないました。

結論を言えば、最終的なコンテンツ (リリースされたもの) のオーナーシップは誰にあるかと言えば、翻訳者ではなく、クライアントもしくはクライアントの担当部門です。

なので、一翻訳者として、最終形態に近付ける努力はする一方で、必ず最終形態にした状態で納品しようとは思わないのが吉、だと学習しました。

しかし、翻訳作業をする上で、不明点は問い合わせるという姿勢は変えないようにしたい、という気持ちは常に持っていようと思っています。

「不明点があったら遠慮なく」とはよく言われるものの、質問して回答が得られるかは、また別の話、ということですね。

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