9人の翻訳家は本当に面白くないのか|翻訳者目線で見る

翻訳

先日、Amazonプライムで「9人の翻訳家 囚われたベストセラー(字幕版)」を見ました。

完全にタイトルで見るのを決めた作品です。

事前にレビューを見ると「面白くない」のコメントが目立ったので、面白いのか面白くないのかの目線で見てみました。

実際、犯人は誰なのかを集中して見ていると、細かな演出を見逃すので、ストーリーは頭の片隅に置いて、細かい部分を見ていると楽しいかもと感じました。

とはいえ、ストーリー半分、細かな演出半分で見ていると混乱すると思うので、2回に分けてみるといいかもしれません。

・1回目は、ストーリーに集中する

・2回目は、誰が犯人かを気にせずに、細かい演出を楽しむ

9人の翻訳家 – 囚われたベストセラー

あと、面白いか面白くないかでいうと、

・ストーリーの面白さは中の中くらい

・細かい演出を、翻訳者目線で見ると面白い

というのが私の感想です。


9人の翻訳家 囚われたベストセラー(字幕版)

9人の翻訳家がやっているすごいこと

9人の翻訳家は以下の通りです。

言語役者役名
ロシア語オルガ・キュリレンコカテリーナ・アニシノバ
イタリア語リッカルド・スカマルチョダリオ・ファレッリ
デンマーク語シセ・バベット・クヌッセンエレーヌ・トゥクセン
スペイン語エドゥアルド・ノリエガハビエル・カサル
英語アレックス・ロウザーアレックス・グッドマン
ドイツ語アンナ・マリア・シュトルムイングリット・コルベル
中国語フレデリック・チョーチェン・ヤオ
ポルトガル語マリア・レイチテルマ・アルヴェス
ギリシャ語マノリス・マヴロマタキスコンスタンティノス・ケドリノス
各国言語の翻訳家たち
映画を見た人
映画を見た人

日本語翻訳家がいなかったのは残念。売上のいい言語が選ばれたとのこと。

フリーランスで主に翻訳業をやっている私が翻訳者目線で見ると、面白いことがたくさん転がっています。

「映画だから」というのを忘れるくらい、見入ってしまったポイントをご紹介します。

1. インターネットを使わずに翻訳

膨大な書籍は利用し放題、ただし外部への情報流出を防ぐために、インターネットは使用不可という設定になっています。

この令和の時代に、いや、フランス映画なので令和とか関係ないのですが、冗談だとしても、私はインターネットのない時代にはもう戻りたくないと思います。

翻訳中に分からない単語があったら、紙の辞書で調べなくてはいけないという状況は、もはや想像すらできません。

ウン十年前、アルファベットを唱えながら、紙の辞書を引いていました。

今や、ブラウザを立ち上げて、スペルを途中まで打つだけで目的の単語を見つけることができ、ものの数秒で意味を調べられます。

さらに、映画の舞台は出版翻訳なのでちょっと違うかもしれませんが、産業翻訳しかやったことのない私は、CATツール (翻訳支援ツール) なしに翻訳をすることはもう考えられません。

2. MacBookで翻訳作業

9人の翻訳家たちに用意されたのは、有無を言わさずMacBookでした。

Windowsの選択肢は与えられなかったのか、MacBookは翻訳家の間ではデフォルトになっているのか、ちょっと視覚的な美しさを追求しすぎじゃないかと思いました。

ほとんどWindowsでしか仕事をしたことのない私にとっては、拷問になります。

使い方が分からなかったら、ググることもできないので、隣の翻訳者に教えて?と聞くのだろうか……、とストーリーどころではなくなってしまうほど、気になったのでした。

(やっぱり、2回に分けてみるのが正解かもしれません)

3. 全員フランス語会話に支障なし

翻訳する人って、言葉を吟味しながら、あぁでもない、こうでもない、って言葉をひねり出しているものだと思っています (私だけ?)。

なので、翻訳をしているときは、会話をするときのようにポンポン出てくるわけではありません。

どちらかというと、いかに分かりやすい言葉にするか、自然な表現にするかを目指しているからだと思っています。

ところが、各国言語の翻訳家たちは、全員が全員ほぼ支障なく、フランス語でコミュニケーションを取っています。

まぁ、会話なので好きに話すのが普通なので当然と言えば当然です。

ただ、それほど流暢に話せるのなら、通訳になった方がよかったんじゃないか、と勝手なことを考えてしまいます。

フランス語で口喧嘩をしたり、怒りをぶちまけたりする様子は、見ていて勢いに圧倒されるのですが、怒っててもフランス語が出てくるんだ……と感心するほどです。

「映画だから」とは分かっていても、私は英語で、そこまでスムーズに会話でコミュニケーションは取れないな……というのが率直な感想です。

9人の翻訳家の見どころ

作品中のベストセラーのサブタイトルが違う

Amazon Primeの該当ページで面白いコメントを発見しました。

映画冒頭のブックフェアの場面では、Daedalus三部作「The man who did not want to die」とあるのに、中盤の新聞の記事では、「The man who did not want to heal」となっている。

早送りしながら、該当部分の映像を確認してみると実際本当で、これを見つけた人は何度この映画を見たんだろうと思ったほどです。細かすぎて、普通に見ているだけでは完全に気付かないレベルです。

フランス語以外の言語も飛び交う

ストーリーは、実際にAmazonなどで見ていただければと思うのですが、見どころとしては、終盤、フランス語で話すと、話の内容が出版社社長にバレてしまうのを避けるために、各国言語の翻訳家たちがフランス語以外の言語で話す場面です。

話の内容がバレないようにのはずが、スペイン語も中国語も筒抜けでした(笑)。

あと、私はフランス語を大学時代に第二外国語として学習し、中国で2年ほど暮らしたことがあり、そして社会人になってからスペイン語を少し勉強したので、それぞれの言語での会話を少し聞き取れるのが、楽しいと感じました。

多言語を学習している、もしくは学習したことのある人にとっては、「(各国言語での) 聞き取り」という別の楽しみ方がありますので、オススメです。


9人の翻訳家 囚われたベストセラー(字幕版)
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9人の翻訳家のまとめ

映画のストーリーそのものよりは、細かい演出を注意して (たまに一時停止するか、2回視聴する) 見ると楽しめると思います。

翻訳者目線で、映画の中の翻訳家がどのように翻訳をしているのかを見たり、翻訳を本業としている翻訳者たちが、流暢にフランス語をあやつってコミュニケーションをとっているのを見るのが純粋に楽しかったです。

Amazon Primeに入っていれば無料で、入っていなくても30日間のお試し期間があります。

気になった方はどうぞ。

>>9人の翻訳家 囚われたベストセラー(字幕版)
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