無料のCATツール (=翻訳支援ツール)として、私の翻訳の仕事を支えてくれていたMemsourceパーソナルエディションが2022年6月に終了します。
私はMemsourceのニュースレターをメールで受け取っているのですが、このパーソナルエディションが終了することについてのお知らせは来ませんでした。
大切な情報だから、メールでお知らせがほしかった!
何かのきっかけでMemsourceのウェブサイトをみたときに、Memsourceパーソナルエディション終了のブログ投稿 (2022年04月29日付) を発見して、終了のことを知ったのでした。(以下の画像を参照)
この記事でご紹介するポイントは、以下の通りです。
- Memsourceパーソナルエディションへの新規登録は終了
- Memsourceパーソナルエディション終了後は、順次チームエディションの60日間トライアルへ移行
- 60日間トライアル終了後も使い続ける場合は、有料エディションへアップグレードが必要
- MemsourceとDeepLを連携するためのプランの選択方法2つ
また、以下についてもご紹介します。
Memsourceパーソナルエディションの現状と次のステップ
現状
2022年6月末をもって、Memsourceパーソナルエディションの提供が終了します。
なお、パーソナルエディションへの新規登録はもうできなくなっています。
次のステップ
現在、パーソナルエディションを利用中の場合は、6月20日~7月1日の間にチームスタートエディションの60日間無料トライアル期間へ自動的に移行します。
12日間というある意味長い期間が確保されているのは、ユーザー移行が複数回に分けて行われるためです。
自分のアカウントが何日に移行されるのか、それは教えてもらうことができません。
チームスタートエディションの60日間無料トライアル期間が終了すると、引き続きMemsourceを利用するためには、有料エディションへ手動で切り替える必要があります。
Memsourceの有料エディション
では、有料エディションの種類にはどんなものがあるのでしょうか。
有料エディションは、以下の通りとなっています。
- チームスタート (27ドル/月)
- チーム (200ドル/月)
- アルティメット (350ドル/月)
- エンタープライズ (要問い合わせ)
フリーランスであれば、チームスタートがぴったりですね。
というより、他のエディションは金額的に手が出ません!
パーソナルエディション、チームスタートエディションのメリット・デメリット
続いて、パーソナルエディション、チームスタートそれぞれのメリット・デメリットを比較します。
パーソナルエディション
- メリット:無料で使える
- デメリット1:ファイルサイズ上限が10MB
- デメリット2:1度に2つのジョブ (=翻訳ファイル) しか登録できない
やはり何といっても、パーソナルエディションのメリットは無料で使えたという点です。
1度に2つのジョブ (=翻訳ファイル) の登録しかできなくても、さほど気になりませんでした。
なぜなら、1ファイルずつ翻訳すれば、翻訳メモリにはしっかりと反映されますし、次のファイルでは、その翻訳メモリを問題なく利用することができるからです。
チームスタートエディション
- メリット1:ファイルサイズ上限が1GB
- メリット2:ジョブ (=翻訳ファイル) の登録数が無制限
- デメリット:コスト (27ドル/月) がかかる
一方で、チームスタートのメリット・デメリットについては、言うまでもなく……という感じではありますが、やはりコストがとても痛いです。
ファイルサイズ上限や、ジョブが無制限であっても、この恩恵を受けるほど利用するかどうか……。
そんな、一フリーランスの思いを見透かしたかのように、Memsourceパーソナルエディションの終了を伝えるブログ投稿には、「よくある質問」が掲載されています。
Q: フリーランスの翻訳者なので、チームスタートエディションは必要ありません。フリーランサーのためのサービスはありませんか?
A: フリーランス翻訳者の方も、月額20ユーロ/27ドルからのチームスタートエディションをご利用いただく必要があります。6月末以降はフリーランサー向けの無料サービスの提供はなくなります。今後も引き続き提供する無料サービスは、アカデミックプログラムのみとなります。
Memsourceパーソナルエディションの提供終了について > よくある質問
潔く無料版はあきらめましょう。
MemsourceとDeepLを連携するためのプランの選択方法
さて、Memsource単体でもCATツールとして十分に効率的な翻訳ができるのですが、機械翻訳のDeepLを活用して自動化できるところは自動化してしまうのがオススメです。
もちろん、機械翻訳したまま編集を一切しないで完璧な翻訳になることはありませんので、必ず訳文を確認するようにしましょう。
MemsourceとDeepLを連携する方法は、2つあります。
方法 | DeepLの使い方 | Memsource | DeepL |
---|---|---|---|
1 | DeepLを単独で使わなくてよい | チームスタート(27ドル/月) +Memsource Translate アドオン (7ドル/月) | なし |
2 | DeepLを単独でも使いたい | チームスタート(27ドル/月) +Memsource Translate アドオン (7ドル/月) | DeepL Pro Starterプラン (750円/月) |
Memsourceを利用するには、最低でもチームスタートエディション (27ドル/月) を利用する必要があります (前述の通り、無料のパーソナルエディションが終了するため)。
さらに、MemsourceからDeepLなどの機械翻訳エンジンと連携するには、Memsource Translate アドオン (7ドル/月) が必要となります。
2つの方法について、以下のセクションで詳しくご紹介します。
1. DeepLを単独で使わなくてよいとき
MemsourceからDeepLを連携して、Memsource上の翻訳だけで利用するだけなら、チームスタート(27ドル/月) + Memsource Translate アドオン (7ドル/月) だけでOKです。
合計で34ドル/月となります。
2. DeepLを単独でも使いたいとき
一方で、DeepL単体でも翻訳したいとき (例:文章をDeepLのサイトに貼り付けて翻訳したい=Memsourceを利用せずに) などといった場合は、DeepL Pro Starterプラン (750円/月) が追加で必要となります。
DeepLには無料版もありますが、無料版ではセキュリティが担保されていないためです。
セキュリティ面でも安心を買いたいのであれば、DeepL Pro Starterプラン (750/月) に入りましょう。
DeepLのセキュリティについては、以下の記事でご紹介していますので、よろしければこちらも併せてどうぞ。
割高なプランの選択方法
私は、Memsourceパーソナルエディションが終了するなんて夢にも思わなかったので、DeepL Pro Advancedを1年契約していました (2,500円/月)。
契約が切れるのが2023年春なので、それまで解約してもしなくても支払った料金は返ってこないため、引き続き使う予定でいます。
そして、2022年8月頃には、Memsourceパーソナルエディションが終了し、有料版のチームスタートエディションへ移行することになると思います。
そうすると、こうなります。
時期 | Memsource | DeepL | コメント |
---|---|---|---|
これまで | スターターエディション (無料) | Advancedプラン (2,500円/月) | – |
2022年8月~ | チームスタートエディション (27ドル/月) | Advancedプラン (2,500円/月) | 割高! |
27ドル + 2,500円となり、割高となるのがお分かりいただけると思います。
上記の「DeepLを単独で使わなくてよいとき」や「DeepLを単独でも使いたいとき」でご紹介した方法の方が、27ドル + 2,500円よりも安く利用できます。
DeepLの年間契約が終了したら、DeepLのプランをAdvanced (2,500円/月) からStarter (750円/月) へ変更する予定です。
Memsource Translate アドオンとは
なお、Memsource Translateアドオンについてですが、これがあれば、定額でポストエディットに機械翻訳を無制限で利用できるようになります。
これがないと、DeepLなどの機械翻訳と連携することができません。
チームスタートエディションを利用していれば、7ドル/月でこの機能を利用できます。
– | チームスタート | チーム | アルティメット | エンタープライズ |
---|---|---|---|---|
各エディション料金 | 27ドル/月 | 200ドル/月 | 350ドル/月 | 要問い合わせ |
Memsource Translateアドオン料金 | 7ドル/月 | 40ドル/月 | 65ドル/月 | 年間定額 |
合計 | 34ドル/月 | 240ドル/月 | 415ドル/月 | – |
なお、対応している機械翻訳エンジンは、以下の通りです。
詳しくは、Memsourceの機械翻訳エンジンのページをご覧ください。
- Amazon Translate
- DeepL <<< オススメ!
- Google AutoML
- Google Translate
- Human Science
- Microsoft Custom Translater
- Microsoft Translator
- Rosetta Translate
- Systran PNMT
- Tencent TranSmart
- Ubiqus NMT
- Yandex Translate
Memsourceパーソナルエディション終了のまとめ
- Memsourceパーソナルエディションへの新規登録は終了
- Memsourceパーソナルエディション終了後は、順次チームエディションの60日間トライアルへ移行
- 60日間トライアル終了後も使い続ける場合は、有料エディションへアップグレードが必要
無料でMemsourceが使えなくなってしまうのはとても残念ですが、今年に入って、食料品や電気・ガスなどの物価が上昇していますから、これも自然な流れなのかもしれません。
無料でなくなったからといって、「じゃあ使うのやめます」、とはならないくらい、Memsourceはより効率的に、より正確に翻訳作業をするためにとても重宝しています。
有料エディションを使うことによるメリットはあるので、翻訳作業の効率化を進めて、コスト分を上回る売上に持っていきたいと思っています。
Memsourceチームスタートエディションのメリット
- ファイルサイズの上限が1GB
- ジョブ数 (翻訳ファイル数) の登録が無制限
Memsourceパーソナルエディションを使用中のユーザーさんのお役に立てれば嬉しいです。
お読みいただき、ありがとうございました。